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す、すごい……僕もこんな風に自信が持てたらなぁ。
率直に、そう思えた。怖い二人組? いや、不気味な二人組なんだけど、自信を持って取り組んでいる姿に羨ましさを感じる。
「君さ、演技とか興味ある?」
「え、僕? 興味がないわけじゃないけど……」
「おお! そうなんだ! じゃあさ、俺たちの仲間に入らない?」
「え? 仲間?」
「そうそう! 俺たち、比奈北小学校の六年生! 小劇団『ボルド』の仲間になってくれよ!」
比奈北小の六年……僕と一緒だ。こんな二人組いたっけ? それに小劇団なんかあったのか? ウチはマンモス校だから同学年でも知らない人はいっぱいいるけど。
いや! それよりも、今僕は劇団の勧誘を受けているんだ。せっかく誘ってくれているけど……僕なんかには……。
「いや、僕なんかにはできないよ……」
「どーしてさ! 興味があるならやってみようよ! もう少しで学芸会があるだろ? メンバーが足りないんだよ!」
そ、そんなこと言われても……。
僕だって、自分を表現してみたいさ。声優になるっていう夢があるわけだし、演じるのは僕の憧れでもある。
だけど、絶対お父さんに反対されるし……僕が自由になることなんて……。
うん、そうだ……できるわけがないだろうし、それを発言する勇気もないし。
どうして僕だけこんなに後ろ向きなんだ。どうして僕だけ……そんな何とも言えない悔しさがこみ上げてきて、涙が出てきた。
「あれ……君、大丈夫?」
「ご、ごめん……とにかく僕には無理なんだ」
絶対、お父さんに反対される。自信がなくなってきた。
二人は楽しそうに演技しているのに、僕はお父さんに自分の夢も打ち明けられないでいる。もう何もかもが嫌になってきた。
「君! いいねぇ、その涙!」
「……へ?」
「泣く演技ができるなんて最高だよ! 俺でもできないもん!」
「いや、これは演技じゃなくて」
「決めた! 次の学芸会の劇……君を主人公に任命します!」
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