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「では、五、六人のグループを作ってください」  先生の指示を受けて、椅子から立ち上がるごそごそという音が教室に溢れる。 誕生日前日の金曜日。三時間目の後半はグループワークの時間となった。 「朱莉ー!」    真っ先に声をかけてくれた同じバドミントン部の友達と合流して、それから他の運動部の女の子たちと集まった。あっというまに五人。とりあえず、先生に言われた最低人数には達した。  ほんとうならこれでグループ組みは終わっていたはずなのだけど、一つ問題が起きていた。  クラスの女子は十六人。五人から六人のグループを作るなら、先生の指示に従えば、一つだけ六人グループができることになる。  今のところ、朱莉たちのグループを含めて三つの五人グループができていた。  つまり、一人だけ、どこにも属していない女子がいるということ。  教室の隅、周りを見ながらうろうろしているぼさぼさ髪の女の子に、いやでも視線が行く。 「入れてあげたほうがいいよね……」  隣にいるソフトテニス部の友達が、苦笑いを浮かべてグループのみんなを見渡す。  他のグループの女の子たちも、ちらちら朱莉たちの方を見ていた。  なんでこうなるかって、それは、朱莉がこのクラスで唯一叶子と口をきく人間だからだ。
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