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兄のように、父のように接する事をきっと俺は無意識に心掛けて、自分の気持ちにセーブをかけていた。
その後。
俺は一旦病室を出て、本部内にある店でクッションとブランケットを買って、再び雪の元へと戻った。
すると雪は、やはり最初に居た部屋の角隅に戻って蹲っている。
ここが1番、落ち着ける場所なんだな。
俺は静かに歩み寄ると、買い物袋から買ってきたブランケットを取り出して雪の身体を包むようにそっと掛けてやった。そしたら、雪はゆっくり顔を上げて俺を見る。
「それ、やるから使いな?あとさ、直接床に座るの冷たいだろ?だから……。
ジャ~ン!クッションも買って来たからさ、これ下に敷こうぜ?」
雪には、俺のその行動が意味不明だったんだろうな。目の前で笑いかける俺を、ただじっと不思議そうに見ていた。
「……ちょっとだけ、触るな?」
俺は声をかけて、雪をなるべく驚かせないように片手で自分の方に抱き寄せると、もう片手で床にクッションを置いてやり、すぐにその上に戻してやった。
震えてねぇし、大丈夫だよな?
暫く様子をみていたが嫌がっている様子もなければ、むしろブランケットに包まれた雪は心地良いのかうつらうつらと眠たそうにしていた。
プッ、なんかコイツ……小動物みてぇだな。
そんな雪を見て、思わず俺には笑みが溢れる。
ただの自己満足かも知れない。でも、ほんの少しでも自分のした事で雪が安らぐんなら俺は嬉しかったんだ。
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