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っ、頼む。効いてくれよーー……!!
自らも閃光玉の光を喰らって目眩しを受けないよう俯いて、閉じた目を更に腕で覆いながら、俺はそう願った。
魔物の中で龍族は珍しい。
守護神で隊員として生きた約二十年。数え切れない程の魔物を討伐したが、その中で龍族を討伐したのは本当に数える程度だ。
それはおそらく一般的な魔物に比べて、龍族の知能がズバ抜けて高い事が考えられる。龍族は絶滅を避ける為に、生き延びる事に必要な術がどの魔物より優れていて、まず自分達から戦いを始める事をほとんどしない。
特に、人間が魔器と言う自分達にとって恐ろしい武器を造り出してからは尚更だ。
つまり、龍族は無駄な争いをしない。他の攻撃的な魔物達とは違い、深い森や山奥の山岳地帯に住処を選び、生き延びる道を選んでいるのだ。
きっとそれは龍族は繁殖が難しく、また新たな生命を生み出すまでにかなりの年月を費やす事からだろう。
遭遇する確率や戦闘になる回数が少ない、と言う事は、同時に情報や資料が少ないと言う事。どんな攻撃方法が有効的で、また相手がどんな特徴を持ち、攻撃を繰り出してくるのか龍族には不明な点が多いのだ。
よって、普通の魔物相手になら目眩しに使える閃光玉も、龍族には効果があるのかやってみなきゃ分からない。普段使う閃光玉よりも威力を上げてもらい、対スノーフォール用に特別に作ったものだが果たしてーー……。
ーー……ズシャアァァーーーッ!!!!!
「ギャウッ!!!」と言う短い鳴き声の直後に、何か大きな物が地を滑るような、大きな、地を揺らす地響きを感じた。すぐに目を覆っていた腕をどけ、顔を上げると、スノーフォールが地面に倒れ込み、もがいている様子が目に映る。
目眩しが効いたのだ。閃光玉の激しい光で視力をやられたスノーフォールは体勢を崩し、すぐに飛び立てずにいる。
ようやく訪れた好機。頭が良く、学習能力に優れたスノーフォールには、もう二度と閃光玉が効かない可能性がある。
これを、逃す訳にはいかねぇーーーッ!!!!!
俺は斬月を構えて、スノーフォールに向かって行った。
大切な人を、もう一度目覚めさせる為にーー……。
……
…………。
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