番外編①紫夕side(2)

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実際に目の前に現れた彼女に俺は何だかホッとして、好印象を抱いたんだ。 緊張が解けて、俺は笑いながら口を開く。 「そっかそっか!確かに、アレはずいふんと盛ったな~! あ、わりっ!悪い意味じゃなくてさ、その……いいじゃん!それくらい日に焼けてた方が、健康的だよ!」 見合い写真で見た時にはずいぶんと美白だったのに、目の前の彼女はこんがり小麦色。女性に向かってそんな事言うのは、かなり失礼な事だったろう。 けど、それを話題にした俺に、彼女は顔を上げると嬉しそうに微笑った。 「っ、ですよね?!今時、女は色白でなくちゃいけない、なんて間違ってますよねっ?! 良かったぁ~。やっぱり、思っていた通りの男性(ひと)だぁ」 人間はギャップに弱い。 そして、想像していたよりも良い子。 この合わせ技に、俺はつい、流されてしまう。 「望月(もちづき)さんっ……。いえ、紫夕(しゆう)さん、って呼ばせて頂いてもいいですか?」 「!っ、お、おう」 「ありがとうございますっ!今日はよろしくお願いします!! あ、私の事はどうぞ「(あおい)」って呼んで下さいねっ?」 そう言って(あおい)は、とびきりの笑顔で抱きつくようにして俺の腕に纏わり付いてきた。 ーー……しまった。 これ、なんか……不味くねぇか? その状況に、俺はようやくそう思うのだ。 …… ………… (あおい)は、知れば知る程に良い子だった。 別支部の司令官の娘、と言う肩書きだけでなく、魔器(マギ)は扱えないものの本人も守護神(ガーディアン)の調査員の一員として活動していた。 しかも、彼女が率先して行おうとしていた事は、魔物の習性や生活を知り、彼らとどう上手く生きていこうか?と言う……。まさに、俺が目指している"人間と魔物が共存出来る世界を創る"と言う目標と一緒だったのだ。 おまけに屈託なくて、明るくて、飾らない。その調子と雰囲気に俺も飾らずに居られたんだ。
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