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「これは、私の活動している地域の魔物の種類や特性をまとめた物です」
「!っ、……読んでもいいのか?」
「あ、よろしければ、そのファイル差し上げますよ。紫夕さんが本部で行っている活動の役に立てると思って、今回お持ちしたんです」
「マジかよっ……助かる!ありがとな!」
話題を選んだり考えたりしなくても、自然と盛り上がる。
仕事の話をしても、嫌な表情をされるどころか嬉々として聞いてくれて、返事や意見も言ってくれる。
そればかりか……。
「あ~、なんかお腹空きましたね!
紫夕さん、本部周辺に美味しいラーメン屋さんありませんか?」
「!っ、……ラーメンで、いいのか?」
「はいっ!大好物なんですっ!!」
「あ、あるには、あるが……。
その、女の子が好みそうな味かどうかは……」
俺の好きなラーメンと言えばニンニクがよく効いたやつで、世間一般に女性が好む塩やあっさり系ではない。
雪は別に俺が食べてニンニク臭くなっても文句言ったりしなかったが、一緒にラーメン屋に行くと必ずチャーハンとかサイドメニューばかりを食べていた事から絶対に好みではなかった。
それに、食いに行った後は 杏華やマリィに「ニンニク臭い!」「近寄らないで!」ってかなり不評だったのを思い出す。
そんな思い出からなかなか口に出せないでいると、葵が笑顔で言った。
「ニンニクがめっちゃ効いたやつとか食べたいです!」
「!っ、……へ?」
「この仕事って身体が主本じゃないですか?だから!しっかりスタミナがつくものを食べないと、やってられないですよねっ?」
そう笑顔で言う彼女を、嫌いになれる筈がなかった。
「ラーメンの大盛りか~。普通盛りにして餃子とライス付けるか~。
……あ!チャーハンのセットとかあると嬉しいです!!」
むしろ、「だよな」って答えた俺は、間違いなく葵に好感を抱いてた。
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