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たった一日や数時間でその人物の全てが分かる訳じゃないが、やはり第一印象は大切だと思う。
葵と過ごす時間は素直に楽しくて、あっという間に過ぎていった。
「今日はありがとうございました!
私、数日は本部に滞在させて頂く予定なので……良かったらまた、ご一緒させて下さい!!」
「おう」
「じゃあ、おやすみなさい!」
宿泊先である女子寮の付近まで送り届けてやると、「おやすみ」の挨拶をしてからも自分の部屋に辿り着くまで何度も振り返って俺に笑顔で手を振りながら去って行く葵。
仕事の話をする時はしっかりしているのに、無邪気で女の子として可愛い面も持っているその姿に、俺もつい、手を振り返していた。
断る理由が一つ、完全に失われたーー。
自分に全く合わない。
好みではない。
そうであれば断りやすかったのに、葵は俺には勿体無さ過ぎる位の良い子で……正直に言えば、俺の好みのタイプに違いなかった。
っ、断りづれぇ~~~………!!!!!
葵が部屋の中に入って行き、扉がパタンッとしまった所まで見送った俺は、頭を抱えて地面に崩れるように屈み込むのだった。
……
…………。
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