番外編①紫夕side(4)

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今の弥夜(やよい)のように、ただ自分の大切なものに一途だったのなら……。俺はこの後、大切な紫愛(シア)を泣かせたりしなかった。 「ぱーぱ!」 「!っ、……ん?どした?紫愛(シア)」 「じーしゅ!」 「ん?……ジュースか?」 「うん!じーしゅ!のど、かあいたー!」 つい、二人を見つめてボーッとしていたら、紫愛(シア)がいつの間にか俺のズボンを引っ張って、そう言っていた。 広場の時計を見ると、ここに来てからもうすぐ二時間。ずっとはしゃいでいたから喉が渇いたのだろう。 それに、いつも外へ遊びに行く時は水筒にお茶を入れて持参するのだが、今日は(あおい)の事もあってすっかり忘れていた。 「確かに、喉渇きましたねー!私、何か買ってきましょうか?」 紫愛(シア)の後を追ってこちらに歩いて来た(あおい)が、飲み物の自動販売機を指差して言う。 「ああ!いいよ、俺が買ってくる!子供達とここで遊んでてくれ。 ……弥夜(やよい)。頼むな?」 気を遣って声を掛けてくれた(あおい)に俺はそう言葉を返し、弥夜(やよい)にこの場を任せると、飲み物を買いに行く為にその場を離れた。 …… …………。
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