番外編①紫夕side(5)

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「!っ、父さん……!」 「!っ、紫夕(しゆう)さん……!」 そんな俺の行動に驚いて、声を上げたのは弥夜(やよい)(あおい)。一方の紫愛(シア)は、痛みよりも先に驚きがきた様子で目を見開いて、俺を見てた。 俺は屈んで、しっかり紫愛(シア)と目を合わせて言う。 「……謝りなさいっ」 「っ……」 俺が怒りを含んだ表情と声でそう言うと、次第に紫愛(シア)の瞳が潤み出す。 「紫愛(シア)ッ、謝りなさいっ……!」 「!っ、ふぇ……っ」 もう一度強く言うと、表情があっという間に歪んで……。紫愛(シア)は身体を揺らしながら泣き始めた。 俺は今まで、こんな風に紫愛(シア)に怒った事がなかった。 可愛くて可愛いくて。我が儘言われても、悪戯(いたずら)されても、それすらも可愛いと思えて大切にしてきた。 (ゆき)が居なくなってしまってからは、尚更……。(ゆき)の分まで、大切にしようと思ってた。 でも、そうやって甘やかし過ぎたのが駄目だと思った。 自分の甘やかしが、この事件を引き起こしてしまったんだ、って、思ったんだ。 「紫愛(シア)!「ごめんなさい」だろっ?」 俺はただ、"しっかりしなきゃ"。 "良い父親にならなきゃ"、って必死だった。 「っ、紫夕(しゆう)さん!あのねっ……」 「父さん!これには訳が……」 (あおい)弥夜(やよい)が必死に、こうなってしまった経緯を話そうとしてくれたのに、すっかり熱くなってしまった俺は止まらない。 「ーー訳っ?!悪いのは紫愛(シア)だ!! どんな理由であれ、人に物を投げるなんてやっちゃいけない事だろっ?!」 俺の怒鳴り声が広場に響いて、辺りは一瞬でシーンッ、と静まり返った。 でも、少しして……。 「グスッ、グスッ」と嗚咽(おえつ)をしながら、紫愛(シア)が言った。
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