番外編①紫夕side(5)

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「ち、……ちだうっ……もんッ」 首を横に振って、拳を握り締めて、身体を震わせながら、涙でいっぱいの瞳で俺を見つめて言った。 「ちあ、っ……わる、ないもーんっ!!」 そう言って、「うわぁあ~ん!!」って、泣きながら、紫愛(シア)は何度も何度も「違う」と繰り返していた。 その「違う」が、俺には紫愛(シア)が反抗しているように思えて、つい、言っちまう。 「ああ、そうか!分かった、ならもういい!そんな悪い子、パパはもう知らないからな!」 初めての状況に戸惑った俺はどう収拾(しゅうしゅう)をつけていいのか分からなくて、紫愛(シア)にそう言うと、(あおい)の元へ行って彼女の手を取った。 「服、汚しちゃって本当にごめんな!怪我はないかっ? とりあえず水道で軽く洗おう!落ちなかったら、弁償するからっ……!」 「し、紫夕(しゆう)さん……!」 「いいんだ、行こう!早く洗おう!」 今ひとまず、(あおい)の事をどうにかしなければいけないと思った。 泣き喚いている紫愛(シア)とそれを(なだ)めるように抱き締める弥夜(やよい)を気にしている様子の(あおい)を引っ張り、俺は彼女と二人で広場の水道へと移動した。 …… …………。
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