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「ち、……ちだうっ……もんッ」
首を横に振って、拳を握り締めて、身体を震わせながら、涙でいっぱいの瞳で俺を見つめて言った。
「ちあ、っ……わる、ないもーんっ!!」
そう言って、「うわぁあ~ん!!」って、泣きながら、紫愛は何度も何度も「違う」と繰り返していた。
その「違う」が、俺には紫愛が反抗しているように思えて、つい、言っちまう。
「ああ、そうか!分かった、ならもういい!そんな悪い子、パパはもう知らないからな!」
初めての状況に戸惑った俺はどう収拾をつけていいのか分からなくて、紫愛にそう言うと、葵の元へ行って彼女の手を取った。
「服、汚しちゃって本当にごめんな!怪我はないかっ?
とりあえず水道で軽く洗おう!落ちなかったら、弁償するからっ……!」
「し、紫夕さん……!」
「いいんだ、行こう!早く洗おう!」
今ひとまず、葵の事をどうにかしなければいけないと思った。
泣き喚いている紫愛とそれを宥めるように抱き締める弥夜を気にしている様子の葵を引っ張り、俺は彼女と二人で広場の水道へと移動した。
……
…………。
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