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橘さんは僕に色んな事を教えてくれた。
自分の研究の事、これからの自分の計画や理想……。それから、自分の大切な人が"ある男"に奪われた事。
そして、その"ある男"に僕の父が唆されていた事も……。
つまり、僕の父の死の真の原因にもその"ある男"が絡んでいたのだ。
その男の名前は、望月 三月。
その男は、橘さんから大切な人を奪っただけではなく、僕の父の命まで奪った。
そして、あろう事か……。その三月の息子は、僕に模擬試験で恥をかかせた男。望月 紫夕だった。
親子揃って、鬱陶しいーー。
紫夕はその後も、橘さんにとっても僕にとっても、目の上のタンコブだった。
守護神の隊員のクセに何かと橘さんに盾突き、計画が上手く回らない時もあったっけな。普段はチャラチャラしたダラシのない男なのに、みんなノリに騙されて……。
そうそう。せっかく僕の仲間にしてやろうと声を掛けてやったのに、やたら紫夕の肩を持つ赤毛の男が居たから、ムカついて任務に紛れて消してやった事もあった。
その時、橘さんが言ってくれたんだ。
「危険な事はするな。今はまだ時ではない。
いいか。私は君が心配なんだ」……って。
嬉しかったなぁ。
橘さんは僕と、僕の未来の心配をしてくれた。
だから、紫夕が僕よりも先に特殊部隊の隊長になった時も、我慢する事が出来たんだ。
耐えて耐えて。
耐えて耐えて、耐え抜いて……。
何年も何年も、月日が過ぎた。
けれど、運命は動き出した。
僕は見付けたんだ。
橘さんに昔写真を見せてもらって、一目で目を奪われたあの人によく似た子を……。
真白 雪ーー。
その子はなんと、僕が一目惚れした人型魔物と橘さんの子供だった。
欲しい。
欲しい、欲しい……。
欲しい、欲しい、欲しい!あの子が欲しい!!
高まる興奮と欲で、下着を濡らしたのは初めてだった。
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