番外編②風磨side

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ただ瞳を合わせられただけで、思い出すだけで、今まで抱いた誰よりも僕を快感に導いた。 欲望の白液を溢れさせながらも、決して収まらない熱。 僕が橘さん(憧れの人)のようになる為には、彼が必要だ。 これは、運命の出逢いだーー……。 でも、また、あの男が邪魔をする。 (ゆき)君の隣に居るのは。 その瞳が追いかけているのは。 その表情が和らぎ笑顔を向けられるのは……。 望月(もちづき) 紫夕(しゆう)ーー。 また、アイツだった。 何故、お前が愛される? 何故、何だかんだ、お前が幸せそうに笑っているんだ? 僕から色んなものを奪っていって……。何故、またお前が僕の欲しいものを簡単に手に入れていくんだよっ!? …… ………… (たちばな)さんに「時期が来るまで待て」と言われていたけど、もう待てなかった。 僕は自分で花嫁を手に入れる為に、動き始めた。 手に入れる為ならば、多少の犠牲は仕方ない。邪魔だと思えば、過去の部下も実の妹でさえも排除していいと思った。 花嫁の能力(ちから)で右手が砕かれた時はさすがに少し参ったが、同時に素晴らしい能力(ちから)を知れた事にゾクゾクした。 あんな素晴らしい能力(ちから)を持つ子が自分の花嫁になり、子を成す事が出来ればそれはなんという……これ以上ない幸福だろうか? その時こそ、僕は誰よりも優れた存在になれる気がしていたんだ。 憧れる側ではなく、憧れられる存在へ……。まるでこの世の神になれると思っていた。 けれど、その道のりはやはり簡単ではなかった。 せっかく手に入れたと思った花嫁は、あろう事かあの男の……。紫夕(アイツ)の子をすでに(みごも)っていた。 更に、 「お前にあの子をやる計画は一旦保留だ。腹の子は産ませる事にした。 納得がいかんのなら、この施設から去れ」 (たちばな)さんが、僕にそう告げた。
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