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ただ瞳を合わせられただけで、思い出すだけで、今まで抱いた誰よりも僕を快感に導いた。
欲望の白液を溢れさせながらも、決して収まらない熱。
僕が橘さんのようになる為には、彼が必要だ。
これは、運命の出逢いだーー……。
でも、また、あの男が邪魔をする。
雪君の隣に居るのは。
その瞳が追いかけているのは。
その表情が和らぎ笑顔を向けられるのは……。
望月 紫夕ーー。
また、アイツだった。
何故、お前が愛される?
何故、何だかんだ、お前が幸せそうに笑っているんだ?
僕から色んなものを奪っていって……。何故、またお前が僕の欲しいものを簡単に手に入れていくんだよっ!?
……
…………
橘さんに「時期が来るまで待て」と言われていたけど、もう待てなかった。
僕は自分で花嫁を手に入れる為に、動き始めた。
手に入れる為ならば、多少の犠牲は仕方ない。邪魔だと思えば、過去の部下も実の妹でさえも排除していいと思った。
花嫁の能力で右手が砕かれた時はさすがに少し参ったが、同時に素晴らしい能力を知れた事にゾクゾクした。
あんな素晴らしい能力を持つ子が自分の花嫁になり、子を成す事が出来ればそれはなんという……これ以上ない幸福だろうか?
その時こそ、僕は誰よりも優れた存在になれる気がしていたんだ。
憧れる側ではなく、憧れられる存在へ……。まるでこの世の神になれると思っていた。
けれど、その道のりはやはり簡単ではなかった。
せっかく手に入れたと思った花嫁は、あろう事かあの男の……。紫夕の子をすでに孕っていた。
更に、
「お前にあの子をやる計画は一旦保留だ。腹の子は産ませる事にした。
納得がいかんのなら、この施設から去れ」
橘さんが、僕にそう告げた。
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