0人が本棚に入れています
本棚に追加
…出ないな。
とりあえずかけっぱなしにしたまま移動する。
『もしもし…』
「あ、やっと出た」
ちょうど屋上に出たところで対象者が電話に出た。
「後ろを見て」
振り返った彼と目が合った。
「く、来るな」
咄嗟に男子生徒は後ずさった。屋上の落下防止用のフェンスの向こう側だ。そのまま後ろに下がったらもう足場はない。
しかし、距離的に走って行っても間に合わない。
「危ない!!」
瞬間的に浮かんだ言葉はそれだけだった。男子生徒の片足が宙をまい、反射的にフェンスを掴んでいた。
あぶな、呟いて冷や汗を拭いながら男子生徒に近づいた。
最初のコメントを投稿しよう!