メロディ

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 …出ないな。  とりあえずかけっぱなしにしたまま移動する。  『もしもし…』  「あ、やっと出た」  ちょうど屋上に出たところで対象者が電話に出た。  「後ろを見て」  振り返った彼と目が合った。  「く、来るな」  咄嗟に男子生徒は後ずさった。屋上の落下防止用のフェンスの向こう側だ。そのまま後ろに下がったらもう足場はない。  しかし、距離的に走って行っても間に合わない。  「危ない!!」  瞬間的に浮かんだ言葉はそれだけだった。男子生徒の片足が宙をまい、反射的にフェンスを掴んでいた。  あぶな、呟いて冷や汗を拭いながら男子生徒に近づいた。
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