forget me not

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 授業が全て終わり、下校の時間になった。  掃除のために椅子を机の上に上げ、机を後ろまで下げる。それが終わるとさくらはさっさと教室から出て行ってしまった。 『さくら、さくら。掃除はいいの?』 「私は今日掃除当番じゃないの。当番じゃないからさっさと帰るのよ」 『でも今日、教室掃除の人少ないみたいよ。手伝ってあげなくていいの?』  さくらは言葉に詰まった。今日の掃除の人が少ないことにはうすうす気づいていたからだ。それでも自分は関係ないからと帰ろうとしていた。  さくらの足が止まる。 『手伝わなくていいの?』  再びミーが問いかける。  するとさくらは回れ右をして、元いた教室に戻る。 「──さっさと終わらせて帰るよ!」  さくらはミーにそう言うと、教室の中に入っていった。  教室に入って数分後、さくらは後悔していた。教室掃除のメンバーが苦手な人たちだらけだったからだ。 (ミーはこのこと知って──いや、それはないか)  さくらはそっと端の机から運び始める。出来るだけ目立たず、気づかれないように。さくらは机を運んでいた。 「ありがとう、尾上さん。今日当番じゃないよね?」  そう聞いたのはさくらの前の席の女の子だった。 「うん。当番じゃないけど、人が少なそうだったから戻ってきた」 「わー、ほんと?今日人が少なくて困ってたの。本当にありがとう」  彼女は柔らかく笑う。それはまるで大輪の花が咲いたようだった。 『さくら、お友達出来た?』 「出来ないわよ。今のはただのお礼に過ぎないでしょ」  ミーは顔をしかめる。 『ふーん』 「何よ、その顔。何か言いたそうね」 『別にぃ。早く気づけばいいのになぁ』  そう言うとミーは電気の上に座り込む。さくらはそれを見てもう一つため息をつくと机運びを再開した。
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