1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
掃除が終わり、荷物をまとめていると窓の外を仲良く歩く二人組が通った。
「いいな……」
その言葉は思わず口から出たと言う感じで、さくらは思わず口を抑える。しかしそれを見逃さなかったのが、ミーだった。
『さくらもああなりたい?』
「……なんのこと?」
『……さっきのは心の声よ。自分じゃ気がついていなかったかもしれないけど、あなたはずっとそう思ってたんだわ』
さくらは眉をしかめる。
「なんのこと言ってんのか分かんない」
『分からないなら分からないでいいわ。それでも私はあなたの願いを叶えなければいけない。私たち花の妖精には見えているの。さくらの心のなかにある願いが分かるの。……あの、勿忘草の花言葉は真実の友情よ』
ミーはそう言うと、教室を出ていった。さくらはミーに出会い、うすうす気づきはじめていた。でもそれはもしかしたらそうなのかもと思っているだけで、完全に気づいたわけじゃなかった。
しかし、今になりさくらは自分の気持ちに気づくことが出来た。
さくらは大きな声で叫ぶ。
「ミー!」
『さくら?』
ミーの声がした。教室から出た廊下の隅にミーはいた。ミーはさくらに気づき、飛んでくる。
さくらは意を決して叫ぶ。
(私の強い願いは)
「お願い。 私に一生の友達と出会う機会を下さい。男の子でも女の子でもいい。年上でも年下でもいいから、話しかける勇気をください」
『願いを聞き遂げました、 さくら』
そう言うとミーは胸の前で手を合わせ、徐々に透明になり終いには消えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!