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5
ゆっくりと白い光に近づいていく。
近づくほどにそれは大きく、眩しくなった。
どこからともなく聞き覚えのある声がする。
『これが、最後の扉だ。』
目の前には白い小さな扉が一つ。
これを開ければ、本当に目が覚めるのだろうか。
『目が覚めたら君は何がしたい?』
「何がしたいか…わからない。
けれど、何でもしたい。
まだ眠る前のことは思い出せないけど
いろいろな道を歩きたいし
心地の良い音を聞いたり
たくさんの光を見たい。
たとえまた暗闇にのまれようとも
今ならきっと前に進める気がするんだ。
そこがどんな世界だろうと。」
『また苦しい思いをするかもしれないぞ。』
「良いんだ、それでも。」
『望むものを一つ与えよう、何が欲しい?』
「そうだな…。
何よりも、あたたかくて優しい声に包まれたい。」
『わかった。』
白い小さな扉はゆっくりと開いた。
眩い光が僕を包み込んだ。
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