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「へぇー、むふふ、若葉くんそんな事言ってきたんだねぇ。確実に翼ちゃんに虜じゃん」
片手で口許抑えて怪しげに微笑むらら。
「……あれは、クラスの女子がストーカーしてきたからだよ。若葉に何かあったりしたら心配になるじゃん」
「んふふ、〝させねーよ、俺がずっと一緒にいる。離れんなよ〟だってー」
若葉の声真似してるけど全然似てなくてキャピキャピと喜んでるららに少し私は照れる。
前までは、若葉に対して〝何かしたら許さない!〟って言っていたのにどこでどう変わったんだろう?あの時、お昼ご飯一緒に食べてからだよね。その調子で黒羽くんとも仲良くして欲しいなって私は思うけど、でも、正直思う事はなんでも話せる2人は仲良いのでは?
クラスの扉をガラガラとあけた。
〝させねーよ、俺がずっと一緒にいる、離れんなよ〟
若葉に言われた言葉。
若葉は、優しいし昔から仲良くしてるし幼なじみだから言うてきてるんだと思うんだよね。だから、深い意味は特に何もないと思うんだけどな。どうして、こんなに若葉が言う言葉に考え込むんだろう。一つ一つ気になって不安になったり舞い上がったり照れたり……
幾ら、交換条件でも、軽々しくそういう事言うな……バカ……。
私のこの感情は何だろう……
若葉はサラッと言うけど私は若葉みたいにサラッと言えない。学校につくと男女がこちらをみていた。これはこれは……納得。やっぱり案の定噂が広がっている。
片手で顔を覆って軽く俯く。
私を見てはまた避ける。
終いには……
「枢木さん、若葉くんに女子が近づくとブチ切れて追い払うらしいよ」
「しめられた子、結構いるって」
「若葉くんと付き合ってるから独り占めしたい的な?幼なじみだからって私達に許されると思ってんの?」
「でも、あの2人付き合ってる感じないから、勝手に枢木さんが言ってるだけじゃない?」
うるさい。本当に被害妄想にも程がある。またこの振り出し。
「なんか不愉快に脚色された噂が広まってるんだけど」
「若葉くんは、ウチの学校の有名人だからねー。嘘と妄想のフェイクニュースは日常茶飯事だよ。相手にするだけで時間の無駄だし、若葉くんのせいでまた振り出しに戻ったって感じだよねー」
ららが言うことたまに毒吐く所があるかららを見る。悪気があって言うてる訳じゃないのは分かってるんだけど……
「まぁ、ブチ切れたのは事実じゃん。〝若葉に何かしたら許さない〟んでしょ?翼」
口端をあげてニヤリとする。頬杖をついて言われるとちょっと後退りしそうになった。
「翼ちゃん、そんな事言ったの!?」
「いや……あの……っ、てゆーか、若葉もブチ切れてたでしょーが!!」
「まぁね───」
ニコリと満面な笑顔を見せる。
ドキッ
不意打ち……
私……若葉に酔いそうかも……
余裕持ってる若葉にムカつくし、私ばかり余裕ないよ。何の為にクラス馴染み会したのか分からない。
「大丈夫!!私がいるから!!」
と、ららに言われて励みなる。じわっと目尻が熱くなる。グッと堪えてららに抱きついた。
「よしよし、翼ちゃん、私にたーくさん、甘えていいからね!!」
「……ぁ、りがとぅ……」
小さめな声で答えると、若葉は、心配そうに私の顔をみる。
この噂、正直もううんざり。
ららから、離れて若葉にあっかべーとした。
若葉は口端をニヤリとあげて顔を逸らした。
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