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若葉に、“ここから動いちゃ駄目だからね”と言われたけど待ってる間、退屈だしちょっと駅の中でぶらっとしようかな?特に駅の中は何もないけどちょっと小さなお店が転々としてるから一応あるのはあるんだよね。若葉がそろそろ戻ってくる時に戻ればいいし……にしても、若葉って私に対して可愛いって思っちゃってるのかな?それなら嬉しいんだけどそれはないか……幼なじみだし顔は見慣れてるからさ。
「可愛いねぇ──」
うんうん、本当にこの商品可愛いよね!
え……
小物を見てると、背後から声が聞こえて振り向くと、如何にもチャラそうな人が私の目の前に立っている。ニコリと微笑んでいたのが一瞬で固まる。
「それ欲しいのか?お兄さんが買ってあげようか?」
「え、えーと……っ……」
“お兄さん”的な感じじゃない。私よりも歳をとっていて40代に見える。相手には失礼だけど……見た感じ、そう見えるし。
商品を見ていた手に持ってるストラップ付きの可愛いクマさんを握る。
こ、怖い……目で若葉を探したけど何処にも居なくて、このサングラスをかけてネックレスもジャラジャラと付けてるこの人が本当に怖い……。
目で若葉を探した所で若葉が居ない事を分かってる。だけど、探すしかないの。若葉が来てくれて助けて貰いたい気持ちがあるし若葉が早く戻ってきて欲しい。
「姉ちゃん、彼氏いんのか?いねぇのか?どっちだ?ん??居ねぇなら、今から俺と遊ばねぇか?!」
「……誰かと勘違いしてるんじゃ……」
「勘違いしてねぇよ、俺はお前みたいな顔もスタイルも全部が好きなんだよ!」
ドンドン近寄ってきて、終いには鼻スレスレだし距離は近いしで本当にどうしたらいいのか分からない。鼻スレスレ、しかも、知らない人に声をかけられて怖い事なんてまずないと思うし、顔を背ける。
顔を背けると、その男は私の腰を手を回してきた。
「……っ……!?」
ゾッとする……本当にどうしたらいいの……若葉……っ!!
「おい、聞いてんのかよ!姉ちゃん!!」
顔を背けて手を顔に持ってきてたら手首を捕まれた。
「……痛っ…………」
バン!!!
「ってぇ───!!何だ、てめぇは!!いてーだろ!!」
鞄で男の背中をバン!!と殴った人物、そして、男が“いてーだろ!!”の声を上げて背けてた顔を真正面に向き直してその人物の顔を真っ直ぐに見てみるとそこに立っていたのは……
「お前が何なんだよ。いてぇのは知るか。で、何してんの?1人の女に対していかにも悪目立ちにイカついし女子高校生をここでナンパして口説いてるお前だよ」
冷たく淡々と強い口調と冷たい表情……若葉がきてくれた……。
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