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「月森さんが、塩家さんと並んだら、別世界よね!!!」
「いらっしゃいとか言われたら、それだけで、キュン死?????」
「萌え死?」
店員と店長ならば、いらっしゃいは普通に言うだろう。それで死者を出していたら、客がいなくなってしまいそうだ。
「…………そして、吉見さん、分かっているわ…………これね」
これというのが、微妙に俺を指しているような感じがする。そして、吉見が頷いていた。
「磨けば、どうにかなりそうな感じがするけれど……素材の良さを残さないといけないかな……」
「タンポポが、薔薇になりますか?」
タンポポは、タンポポでいいだろう。
「……でもね、ただのタンポポではなくて、ニホンタンポポ。そこがポイント」
「あ、少し地味なのですね」
かなりマニアックな比較になってきた。
「そうね、そのままがいいとう意見も出てくるタイプよね」
「でも、このままでは、勿体ない…………」
しかし、全員が意見を出し合い、そこに補足してゆく雰囲気はいい。否定しないという面も、流石、接客業という感じがする。
「どちらかというと、珍しい貴重な種ね。知っている人なら、凄く好きと思ってしまうような、凛とした美しさかな……」
「大衆の美ではなく、探し当てる楽しさがある美しさ?」
この美的感覚は、さっぱりと分からない。
しかし、それによると、塩家は完成された美だが、俺は素材のままの、野菜のようなものらしい。
「特盛りサラダ出来ました!」
「わああ!!綺麗!!」
「おいしそう!!!」
そして、野菜もサラダで食べるのならば、素材のままでも美しいらしい。
「野菜スティックです」
「きゃあ、美味しい!!!!!!!」
「このディップ、何???美味しい!!!」
女性達は、奪い合いながらも、分け合う。美味しいを分け合って共感し、価値を高めてゆくらしい。
「これ、こうやって食べると…………」
「倍、美味しい!!!」
でも、美味しいと言ってもらえると、とても嬉しい。
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