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「水瀬君。料理も同じだと思わない?サラダでもいいけれど、ディナーのメインにはならない」
サラダは前菜で、やはりディナーではメインが重要だ。
「!!俺に欠けているモノを、教えてくれていたのですか!」
「いや、違うけれど」
陽洋に来たのは、あくまでランチが美味しいからだという。そして、生の塩家を鑑賞しに来たらしい。
「水瀬君も、鑑賞用には違いないけれど、何というのかな…………華かな。不足しているのは…………」
「地味ですか…………」
でも、俺に欠けている部分が分かってきた。
「それと、感動」
「恐れ入ります」
吉見は、俺に賢明に伝えようとしてくれて、とても嬉しい。それに、この女性達の美しさを見ると、参考になる。
それぞれに、違った魅力があり、それは比較するものではないのだ。
「でも、サラダと水は、抜群に美味しい」
「そうですね。こんなに美味しい野菜は、他にはありません!」
「ここに来てまで食べたい味」
そこがポイントで、店に来て食べたい味に料理を育ててゆく事が重要らしい。そして、それは、接客業だからこそ分かる良さだという。
「自然に美味しいので、それが特別なのだと分かっていない。それは、水瀬君と似ている」
「いい見た目なのに、素朴なのよね……」
「見ていて、少し悔しい。分かってやってと、お姉さん気分になる」
何だかんだ言っても、吉見の同僚は優しい。褒めて伸ばすという事も、熟知している。
だが一人が時計を見ると、全員が食事を終わらせた。
「ランチ、ご馳走様。お水も、ありがとう」
「はい」
吉見の同僚たちが、水を持って立つと、午後も頑張るかと笑っていた。貸切りにしてランチにしたのは、予約が夜まで続いているかららしい。
そう分かると、ここでしっかり休息して、午後も頑張って欲しいと思う。
「行ってらっしゃい!」
「!!!ムム。又来ます」
「ありがとうございましたではなく、行ってらっしゃいときたか…………」
「可愛い」
吉見の同僚は、反応がいい。
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