第一章 月森の杜

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「はい、これは吉見さん用の水です」 「いつも、ありがとう」  吉見は灯油のポリ容器並みに大きい水を、片手で軽く持っていた。中身は綺麗になる水で、美容室のウォーターサーバーに入れているらしい。 「今回は、内蔵から綺麗になる水です。お疲れのようなので。優しさもブレンド」  人間の主な成分は水だ。だから、良い水を選んで欲しい。 「うん、いつも美味しいよ」  美味しいと言われると、本当に嬉しい。 「それでね、月森の杜も、美味しい水なのよ。透明でキラキラしていて、生きている事に感謝してしまうような水」  そして、水が美味しいと聞くと、ライバル心が芽生えてしまう。 「……………………行ってみようかな」  それに皆を感動させる、月森という人に会ってみたくなってきた。 「月森の杜。凄い人気なのよ。予約がいるのかな…………」 「一ヵ月待ちとか当たり前なの……」  どうやって予約するのだろうかと、検索していると塩家が予約を入れていた。 「あ。予約出来ました」 「え、月森の杜、予約できたの!!」  女性達が羨ましがりつつも疑い、塩家の携帯電話を確認していた。すると、確かに予約出来ているという。 「どうやって予約したの???」 「はい。陽洋の名前を出したら、すんなりと……………………」  どうして、陽洋の名前で予約可能だったのだろう。  だが、俺の分も予約してくれたので、月森の杜に行ける。 「サンキュー塩家」 「水瀬の奢りね」  どうもタダではなかったらしい。 「水瀬君、美味しいランチをありがとう。又、来るね!!」 「ご馳走様!!」  そして吉見達は、笑顔で店を出て行った。
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