71人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい、これは吉見さん用の水です」
「いつも、ありがとう」
吉見は灯油のポリ容器並みに大きい水を、片手で軽く持っていた。中身は綺麗になる水で、美容室のウォーターサーバーに入れているらしい。
「今回は、内蔵から綺麗になる水です。お疲れのようなので。優しさもブレンド」
人間の主な成分は水だ。だから、良い水を選んで欲しい。
「うん、いつも美味しいよ」
美味しいと言われると、本当に嬉しい。
「それでね、月森の杜も、美味しい水なのよ。透明でキラキラしていて、生きている事に感謝してしまうような水」
そして、水が美味しいと聞くと、ライバル心が芽生えてしまう。
「……………………行ってみようかな」
それに皆を感動させる、月森という人に会ってみたくなってきた。
「月森の杜。凄い人気なのよ。予約がいるのかな…………」
「一ヵ月待ちとか当たり前なの……」
どうやって予約するのだろうかと、検索していると塩家が予約を入れていた。
「あ。予約出来ました」
「え、月森の杜、予約できたの!!」
女性達が羨ましがりつつも疑い、塩家の携帯電話を確認していた。すると、確かに予約出来ているという。
「どうやって予約したの???」
「はい。陽洋の名前を出したら、すんなりと……………………」
どうして、陽洋の名前で予約可能だったのだろう。
だが、俺の分も予約してくれたので、月森の杜に行ける。
「サンキュー塩家」
「水瀬の奢りね」
どうもタダではなかったらしい。
「水瀬君、美味しいランチをありがとう。又、来るね!!」
「ご馳走様!!」
そして吉見達は、笑顔で店を出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!