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星とお喋り 5
私は、ブランコからおりると、へこんだ砂の上にうずくまって膝を抱えて、目を閉じた。
大丈夫。
星が。
星があれば。
少しは、何かが、見えるよ。
大切なものが、わからなくても。
朝焼けの眩しさにまぶたを焼かれるその時まで、星は沈黙の子守唄をくれる。
どうせだったならば、ベッドで眠る夢が見たいな。
ねえ、お星さま。
もしも、もしもね。
私がこう言うことの何度目かで、誘拐されるとか、凍死するとかで、死んじゃうとして。
命とひきかえに、お願いを叶えてくれるなら。
明日も、お父さんが選んでくれたピンクのお箸で、お母さんの作った美味しいご飯が食べたい。
家族みんなで、食べたい。
最後の、お願いごと。
最後まで、変わらないお願いごと。
ずっとずっと、これが私の願い事だよ。
それだけ、最後に、叶えて下さい。
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