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星とお喋り
歩き慣れた道も、真夜中に通ると、まるで私にとっては迷い道。
ひどい鳥目で、夜目が全く利かないのだ。
きっと今、瞳孔は必死になって小さな星たちの瞬きから、頼りになる光源を集めようとしていることだろう。
寒いな。
キャミソールと短パン姿で、10月の終わりの深夜、コンビニやカラオケすらもないこの町をさ迷っているのにはもちろん理由があった。
行くところがない、居ても良いと思える場所がない。
つまりは居場所がないから、私は車が一台も通らない道路に沿って行くあてなく歩道を進んでいる。
林になっている方からはみ出した草木を、コンクリートに擦り付けるように裸足で踏みしめながら夜空を見上げている。
当然だけれど、時々ふらつくし、つんのめるし、転ぶし、歩道から道路へと片足を踏み外しては足に傷を作る。
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