星とお喋り 3

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星とお喋り 3

 鯉の泳ぐ池を囲む、剪定されて整った様々な種類の植物の間を縫って広い駐車場に出ると、脇には誰も人のいない校舎が建っている。  今年壁を塗り替えたので、暗闇の中でも白々とまるで表面が光っているかのように淡く浮いて見える。  数時間後には、私は赤いランドセルを通い、ここへ登校するはずになっている。  けれど。  わからないな。  だって、ランドセルはここにはないし。  靴も履いていないし。  体操服の袋も持っていないし。  指定された帽子も被ってはいない。  私は、あそこに帰っても良いのかどうか、いつもわからない。  帰りたいと思っているのかどうかすら、わからない。  でもね、夕御飯がコロッケだった。  私は、母の手作りのコロッケが好きだ。  そして、新しい箸が四膳。  父が仕事帰りに買い物をした際に、私たち家族それぞれに似合う色をと考えて購入して来たものだった。  私のは、ピンク。
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