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星とお喋り 4
校庭の芝生がチクチクと足の裏に突き刺さって、痛いのとくすぐったいので、身体中をかきむしりたくなった。
耳がキーンとするほどの静寂の中、自分の心音すら聞こえなくて心細くなる。
そうか、私はもうこの状況にそんな感情を抱くことが出来るほどには、大きくなったのだ。
春になれば、4年生だ。
きっと、来年も相変わらず、夜遅くにここでこうしてブランコに腰かけて、一人であれこれとお喋りをするのだろう。
頭のおかしい子と言われようと、今までと同じように、星とお喋りをするの。
「コロッケ、美味しかったんだよ」
「私の箸はピンクだったの」
「お父さん、私の好きな色を知っていたみたい」
「夜ご飯の時は、楽しかったんだ」
「私は、…みんなが、家族が、だいすきだよ」
本当に、だいすきだよ。
だから、だいすきに、いつかなってほしいな。
そんな日は、来るのかな。
「お星さま、私なんかとお喋りしてくれてありがとう」
お休みなさい。
少し、眠ります。
時間通りに目を覚まし、準備を整え、きちんと学校に行けなかったら今度こそ殴られてしまう。
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