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親友
ユリとアユミは幼稚園に行く前の公園でデビューした頃からの親友。
ママ同士も仲が良く、お互いの家に遊びに行ったり一緒に休日に家族ぐるみで遊びに行ったりしていた。
ただ、生活のレベルは随分違っていたのでアユミのママはいつも少し気疲れがしていた。
ユリとアユミが小学校に上がる頃になると、もう、家族同士で遊びに行くことも無くなった。それぞれの親も仕事を持っていて忙しくなってしまったからだ。
その分、ユリとアユミは低学年のうちは学童保育で一緒に勉強したり遊んだりして友情を深めていた。
勿論、もともと生活レベルに差がある二人だったので、学校への持ち物の文房具やランドセル、手提げかばんなども大分違っていた。
学校に来て来る洋服も大きくなるにつれ段々と差がついてきてしまった。
そのうち学童保育が終る3年生を迎え、4年生からはお互いの家に行って、勉強をしたりそのまま夕ご飯を食べるまでお邪魔したりしていた。
そのうちおかしなことが起こり始めた。
始めは些細な事だったので、アユミのママもアユミにわざわざ聞いたりもしなかった。友達同士で物を交換したりすることはよくある事だ。
アユミのお気に入りの文房具をユリが使っていたり、手提げもユリがいつの間にか持っていたりした。
さすがにアユミの洋服をユリが来て、朝アユミを迎えに来たときには驚いた。
そして、アユミに事情を聞くことにした。
「ねぇ?最近なんでユリちゃんがあなたの物を持っているのかな?」
「何かあったの?」
アユミは俯いた。だが、何かを決心したように母親に打ち明けた。
「ユリちゃんは、親友だったらほしいものを分けてくれるのがあたりまえだって。そうじゃないともう親友じゃないって。」
「せっかくママが働いて買ってくれたのに勝手にあげちゃってごめんなさい。」
アユミのママは困ったように
「そう。」
と言った。
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