虚飾に満ちた結婚式

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 どういうことだ。俊二を除いた全員が驚いている。紅葉は恵里をじっと見つめている。笹垣は怒りを露わにして俺を睨んでいた。笹垣が怒りたい気持ちはわかるが、俺も知らないんだ。  恵里が俯いて小さな声で呟いた。 「私が恵里よ。どうしたの?」 「いいや、違う。あなたは恵里さんの双子の妹の美里さんだ。恵里さんから双子の妹がいると聞いたことがあります。容姿や声は似ているけど、最初から違うのに気づいていた」  双子なんて初耳だ。笹垣が鬼の形相で俺を睨んでいた。笹垣、ごめんな。早く弁明したいと思った。 「さすがは俊二さん。お姉ちゃんは今日は推しのライブのチケットが当たって観戦に行ってるの。もうすぐ来るから安心してね」 「結婚式より推し活? そういうことだったのですね」  俊二も紅葉も美里をじっと見ていた。笹垣は相変わらず、ずっと俺を見ている。笹垣の視線がとても痛い。  扉を開けるバンという大きな音とともに、本物の恵里が式場に入ってきた。俺が契約したのは本物なのか偽物の妹なのかわからないぐらいそっくりだった。恵里はにこやかな表情を浮かべた。 「遅くなりました。ライブのチケットが取れると思ってなくて。さてと結婚式を始めましょうか!」  全員が恵里に憤りを感じていた。まさか代行屋の俺や笹垣までも騙されるとは。  結婚式は恵里以外は怒りを顔に出して、粛々と行われて終わった。俺は最後までずっと笹垣に睨まれたままだった。俺だって知らなかったんだよ!
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