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あたしがここにやって来たのは、八歳になる年の春だった。
亡くなった母の姉だという人に連れられてやって来たこの土地は、四月も半ばだというのにまだセーターの上に冬用のジャケットを羽織らなければ震えるくらいに肌寒かった。
いくつも電車を乗り継いでやって来た見知らぬ土地には、ただ不安しかなかったし。母の面影を少しも感じないのに、そのくせ母に似た声であたしの名前を呼ぶ叔母には、小さな不信感と反発心があった。
それでも、口数が少なく社交的でないあたしに、叔母はもったいないくらいに優しい態度で接してくれた。
始業式を微妙に過ぎた変な時期に転入するあたしが新しい小学校にうまく馴染めるように、色々と手続きを進めてくれたのも叔母だった。
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