質問

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「どうした嬢ちゃん!?」 「アイラどうしたのッ!?」 車を路肩に止めた。ジャックはアイラの顔に掛かった髪を避けると、十字架のネックレスが髪に引っ掛かった。 アイラは髪から十字架を戻そうとすると、同時に雨が降り始めた。 「雨……」 (今までと違う)ぼんやり考えていると、ジャックが微笑でアイラに尋ねてきた。 「パブの店員いから何か貰わなかったか?」 「……何?」 何の脈絡も無い急な質問に、アイラは顔をしかめた。 「『ゴールデン・ドリーム』を進めてきた店員から、何か貰わなかったか?」 表情と質問内容が合っていない様なジャックは質問を繰り返す。 アイラは答えを考えながら、触っていた十字架から手を離した。 ――ガシャァアンッ!! 「ッヅ!?」 途端に後ろからタンクローリーが突っ込んで来た。 「嬢ちゃんッ!!」 「アイラッ!!」 「!?」 助手席に戻される。 「大丈夫か嬢ちゃん?」 「魘されてたよアイラ……」 「平気よ。それよりさっきの質問だけど」 「『さっき』って?」 ジャックが不思議そうにアイラをチラ見する。 「『何か貰ったか?』って!」 「何の話しだ?」 「アイラ眠ってたからきっと夢ッ」 「黙ってアルフィー!」 「!?」 「おい酷いな嬢ちゃん」 「アイラ怖いよ……」 アイラは「何故さっきの夢だけ少し展開が違ったのか」を考えてみた。 空を見上げてみても今は雨ではなく、また晴天が広がっている。 考えながら無意識に十字架を弄っていると…… 「パブで何か持ち帰ったんじゃないか?」 「!?」 笑顔のジャックがまた同じ質問をしてきた。そしてまた雨も降る。 「恐らく呪いをかけられたんだ。のせいで目が覚めない」 「そんな!?……えっと、あの時持ち帰ったのは……そう傘!傘とコースターよ!」 思い出したと同時に思わず十字架を離した。 ――ガシャァアンッ!! 「ッ!?」 空から降ってきたタンクローリーに押し潰された。 「嬢ちゃんッ!!」 「アイラッ!!」 「ッんぁあもう!!」 アイラは苛立ちながら目を覚ました。 「大丈夫かじょ」 「大丈夫!」 アイラは十字架に触れていれば事故が起こらない事に気付いた。 今度はしっかりと握る。 「パブから持ち帰ったのはコースターと傘よ!けど店員からじゃなくて、どっちもクソヤローから貰った物だけど……」
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