愚痴

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(じゅん)ちゃんがまた浮気したー!!」  居酒屋のテーブルで向き合い、怒りを通り越して呆れたような表情を見せた後、前髪を鷲掴みするようにして頭を抱えながら環奈(かんな)が愚痴る。 「だから別れろって言っただろ! 俺の忠告を聞かねえからだよ」 「だって純ちゃん、今度こそ心を入れ替えるって言ったんだもん!」 「お前バカか! それ何回目だよ」 「……三回目」  苛立ちを抑えるかのように、基樹(もとき)は大きな溜め息を吐いた。 「男の俺が言う! 浮気性は、余程の何かがない限り治んねえよ」  基樹がそう言うと環奈は黙って、今度はしくしくと泣き始めた。  "別れろ"は、"俺のところに来い"という意味だが、環奈には届いていないだろう。  基樹はもう何年も環奈に片思いしていた。
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