必要のない重ね着

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 はぁ・・はぁ・・あ~足痛いけど、早くたどり着かないと!・・  歩いて20分のサンキューモールにむかう私の足は棒のように突っ張って、踏み出す一歩がぎこちないロボットみたいになっている。  よりによってヒールの靴なんか履いてきちゃって。これからはスニーカーにしようとひとり言を言いながら、幹線道路にたどり着いたのは会社を出てから20分。激しく車の行き交う道路のむこうににぎやかな灯りが見えてきた。  あと少し・・横断歩道を渡ってからは両手を前後に振りながら体を前へと進める。  肩で息をしながらモールにたどり着いた時には6時40分を過ぎていた。  クローバー運送のトラックは、須藤さんは、まだいるだろうか。うちの会社の集荷を終えてトラックが走り出したのは6時少し前。このモールの中で何件か回るからって言ってたから、まだいるんじゃないかな・・  京香と会って話した時、彼女の言いたそうなことはなんとなくわかった。 ストーカー。  彼の別の仕事場にまで追いかけていくなんて、まるでストーカーみたいだと、京香は思ったに違いない。ストレートに言葉に出さなかったけど、あの不安そうな眼差しはきっと、私の想像通りのことを考えていたからだと思う。  私だって、ちょっとは思う。やり過ぎかな、ヤバいかなって。  でも止められない・・止められないの。  ちっとも振り向いてくれない須藤さんを絶対に振り向かせたい。  もうすでに自分の思いを伝えるだとか、ひた向きな心はどこかにすっ飛んでしまっている。私は私が納得する答えが欲しいだけ・・
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