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「ララで紹介された時、名前聞いてすぐ思い出した。夕暮、なんて苗字、めずらしいもんね。名前も瑠璃。これは間違いなく段中の夕暮さんだって。
でも・・顔が・・あの時と違ってるから・・ひょっとしてプチやったのな?って、なんとなく察して。それにキミがオレの事知らなかったみたいだからさ、あえて聞いたりしなかったんだ」
出会った時からこの人は、私のことを思いだしてくれていた。
新しい顔の私に抱いたのは下心じゃなくて懐かしい記憶。一重まぶたの寂しげな顔つきの女の子の事を、名前をきっかけに思い出してくれた・・
「キミの態度はオレの気を引こうとしてる。そこはわかってたけど、オレには彼女もいるし、かわいいからってヘンに気をもたせるような事する男ってオレは嫌だからさ、何事にも曖昧な態度はしなかったんだよ」
缶コーヒーを立てるようにして飲み干すと、ゴミ箱に捨ててからもう一度隣に座ってくれた。
気になって腕時計を見るともう15分も話しこんでいた。これ以上須藤さんを引き留めてはいけない。彼の仕事を邪魔するような人間であってはいけないと、立ち上がって頭を下げた。
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