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ショッピングモールを出ると冷たい空気が全身を包んだ。
コートの前を閉めれば寒さが和らぐ。そうわかっているけど、コートが風であおられても釦を掛けることなくそのまま歩き続けた。
必要のない重ね着・・でも私は欲しかった。
どうしてももう一枚余分に身にまとうおしゃれな服が欲しかったのだ。
でも須藤さんは、着なくてもいい服だったんじゃないか、そんな意味のことを言っていた。中学の頃の私のほうがよかったんじゃないかって・・
だったら・・戻ればいいのか・・戻せばいいのか・・
戻したほうがいいのか・・
激しく鳴ったクラクションにつられるようにして、足がピタッと止まった。
一重の寂しい顔つきの私でも付き合いたいって思ってくれた人がいる。中学の頃の私を心根の優しい子だって褒めてくれた人がいる。
自分が嫌いだった顔の時のほうが好かれていたってことなら・・
花の咲き乱れる花壇の中を土だけに戻すような、そんなバカげた考えが私の頭の中を舞い始めた。
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