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目を開けた時には……むせ返るような、濃い梅の香りを感じたのだ。
「……ここ、は?」
社でもどこでも無い。
深い森の中のようだが……私が居る場所は、どうやら大樹の根だった。
たしか……宮司らが観る『テレビ』とやらで、少し覗き見た『縄文杉』とも似ているほどの……素晴らしく大きい樹の根の上に居たのだった。
だが……周りの風景とやらが、社でも日本でないことがわかった。
見たことがない、キラキラと輝く動物に植物。
浮かんでいるのは、光か何か。よく見れば、羽の生えた小さな小人のようなのが楽しげに仲間と語らっていたのだ。
加えて、私の居る樹のところも……いくらか輝いていた。神々しい御神木とも言えるような具合に。
とくれば、これもテレビなどの知識を借りれば……思い当たることが出来た。
「……アニメとやらでもあった、『異世界』とやらか?」
転生か転移かははっきりしないが……どうやら、私は異世界に来てしまったようだ。
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