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様々な樹々が絡み合うように存在している、中央に。
あったのだ。
私達が探し求めていた物が。
トビトと同じ色合いの……赤紫色に輝く結晶。
『聖樹石』が!!
『こ……れ! これ……き、れ!!』
フータはあの場所から見えていたのか、これを私達に教えたくて道案内してくれたのだろうか?
「……フータ。これがわかったの?」
『う、ん! き……れ、で……マスター、喜ぶ……思って』
「……ありがとう!」
思わず、トビトが抱えたままの状態でフータに抱きつく。
餅のような感触を堪能したいところだったが……せっかくのフータの心遣い。
これに、私が手を触れれば……世界樹にすぐ届くだろう。
とは思ったものの。
「……ここは、巣であろうか」
トビトが急にそんなことを言うので……まさか、と私も腰にある短剣を構えた途端。
あちこちの茂みから、小鬼が多く出てきたのだった。
「……ギ、ギギギ!?」
「ギィ!? ギギィ!!」
「ギャーギャー!!」
騒いでいるあたり、簡単には聖樹石を渡してはくれないようだ。
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