第20話 天神様と最初の石①

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 様々な樹々が絡み合うように存在している、中央に。  あったのだ。  私達が探し求めていた物が。  トビトと同じ色合いの……赤紫色に輝く結晶。 『聖樹石』が!! 『こ……れ! これ……き、れ!!』  フータはあの場所から見えていたのか、これを私達に教えたくて道案内してくれたのだろうか? 「……フータ。これがわかったの?」 『う、ん! き……れ、で……マスター、喜ぶ……思って』 「……ありがとう!」  思わず、トビトが抱えたままの状態でフータに抱きつく。  餅のような感触を堪能したいところだったが……せっかくのフータの心遣い。  これに、私が手を触れれば……世界樹にすぐ届くだろう。  とは思ったものの。 「……ここは、巣であろうか」  トビトが急にそんなことを言うので……まさか、と私も腰にある短剣を構えた途端。  あちこちの茂みから、小鬼(ゴブリン)が多く出てきたのだった。 「……ギ、ギギギ!?」 「ギィ!? ギギィ!!」 「ギャーギャー!!」  騒いでいるあたり、簡単には聖樹石を渡してはくれないようだ。
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