アルディー家へ

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アルディー家へ

あれから1時間、えっちらおっちら歩き続け、私は隣街に到着した。 もうすぐ日没にも関わらず 、人通りはかなり多い。 街ゆく人々とすれ違いながら、私はレンガ造りの建物が並ぶ大通りをどんどん進んでいく。 やがて、景色は赤レンガの街並みから屋台が並ぶ街へと移り変わっていった。 夜市の準備をしているのか、どの屋台からも慌ただしい雰囲気を感じる。 私はその中で比較的暇そうな屋台を見つけ、店主に話しかけた。 「すいません、アルディー家がどこにあるかご存知ですか?」 そう問いかけると、店主のおばさんはレモンの皮をむく手を止め、あぁと軽く頷いた。 「もちろん、この辺じゃ有名だからね。何か用かい?」 「はい、ちょっと。迷ってしまって」 「ほー。あぁ、お姉ちゃんもしや旅人かい?ちょっと待ってなよ」 おばさんはそう言うと、隣にいるおじさんに、地図取ってきてよ、と声をかけた。 おじさんは一瞬嫌そうな顔をし、渋々奥の家へ引っ込んでいく。 しばらくして、おじさんが屋台に戻ってきた。 手には使い込まれたボロボロの地図が握られている。 「今ここね。で、こっちの青タイルの通りを通り抜けて……」 おばさんが地図を広げ、指でなぞりながら丁寧に教えてくれた。 私は時折相槌をうち、また簡単なメモも取った。 「ありがとうございます。助かりました」 一通り説明を聞き終え、お礼を言うと、おばさんはいいのよぉとひらひら手を振る。 私は感謝の気持ちも込めて、レモンのドライフルーツを1袋購入し、アルディー家へと出発した。
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