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「ここか」
メモを頼りに、無事アルディー家と思われるお屋敷に到着した。
木目調の白壁に大きな窓がずらりと並び、まるでお城のようだ。
また建物だけではなく、門でさえビカビカ黒く光り、圧倒的な存在感を放っている。
もちろん門の前にいる2人の守衛も、その存在感を大いに担っていた。
私はそのうちの1人に、近づいてみる。
「すいません。私、その辺を旅しているものですが、これを拾いまして」
早速バックパックの中から、例の教科書を取りだし、彼に裏表紙の文字を見せた。
守衛はそれを手に取り、しげしげと眺め、深く頷いた。
「確認してまいります。少々お待ちください。」
彼はそう言って、お屋敷の方へと消えていった。
少し時は経ち、守衛は少し年老いた召使いを連れ、門まで戻ってきた。
「確認したところ、確かにお嬢様の教科書でございました」
守衛はそう言い、深々とお辞儀をする。
横にいる召使いも同じように腰を折り曲げ、私に向かって話し始めた。
「お嬢様にお伝えしたところ、是非直接お礼がしたいと申しておりまして。良ければ屋敷の方に……。」
それを聞いて思わず、私はラッキーと飛び跳ねてしまいそうになった。
これは念願のお礼をいただけるぞ!
「お礼なんて……。でも、せっかくのご厚意ですし、是非伺いたいです」
一応謙遜し、そう答えると召使いは優しく微笑み、ではこちらへと門の中を示した。
守衛に門を開けてもらい、私は広大な庭をぬける。
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