アルディー家へ

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バラ園を通り抜け、私はお屋敷の中に入った。 既に何人かの召使いとすれ違ったが、その度に立ち止まって頭を下げられた。 なんだかむず痒い。 私達はルビー色の絨毯が敷かれた長い廊下を進み、ある部屋の前で立ち止まった。 「こちらでお待ちくださいませ」 召使いは私を室内に案内してから一礼し、足早に去っていく。 私は彼女の背中を見送り、ソファに座った。 目の前の壁には立派な花の絵画が飾られ、ここが豪邸であることを改めて認識させられる。 5分程ぼーっとしていると、部屋の外から数人の足音が近づいてきた。 そして、先程の召使いを先頭に、少女と夫人が部屋に入ってきた。 2人は召使いに促され、私の前のソファに腰をかける。 「初めまして、私サイリーナと申します。この度はありがとうございました」 そう言ってサイリーナ嬢はすぐにソファから立ち上がり、スカートの裾を持ち上げた。 なんとも美しい所作で、見とれてしまう。 あぁ、そんな場合じゃない。 私も慌てて立ち上がり、挨拶をする。 「私、タビと申します。隣の街を旅をしている途中に、偶然拾いまして。もしかしたらと……」 「あら、そんな所で?遠路はるばるありがとうございます」 サイリーナ嬢は再度丁寧にお礼を告げ、品の良い笑みを浮かべる。 それに続くように、隣の女性も口を開いた。
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