最果ての夜に

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 そうして僕たちは、みなとみらいに明け方4時くらいまでいて、電車に乗って同じように横浜駅で乗り換えた。ずっと手は繋いだまま、他愛ない話をした。  大学の最寄り駅。加賀美さんの最寄り駅もここだけど、なんとなく手が離せなくて、彼女が降りる前にドアが閉まった。僕は握る手に力を込めた。 「夜がなくなったらさ」 「うん」 「ポテチ食べようと思って」 「ポテチ?」 「うん。夜に食べるポテチって罪悪感あったけど、これからはいつ食べてもいいんじゃないかな」 「神楽くん、そんな面白いこと考えてたの?」  くすくす笑う彼女に、胸が鳴る。「それでさ」と先を紡いだ言葉は少し声が裏返った。 「今から帰って少し寝て、起きたら食べようと思ってるんだけど。…一緒に買って食べない?」  彼女は少し考えて、でもすぐに目を細めた。 「最高」  最寄り駅につく。加賀美さんの手を引いて、ホームに降り立った。僕たちの後ろで昇っていく太陽が、街の影を濃くしていった。 終
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