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ーー今からおおよそ100年前ーー。
抜けるような青空の下。草原の中にある真っ直ぐに伸びた一本道をある1人の人物がゆっくりと歩いていた。天高く太陽が昇り、心地よい微風がその人物の被っている帽子から覗く黒髪をサラサラと靡かせていく。
「おーい、そこの人ー」
しばらく歩いていると、背後から若い男の声がかかり、「ん?」と後ろを振り向く。振り向いた先には藍色の着流しを着た若い男が嬉しそうに笑っていて少しほっとした様にも思えた。
「いきなりですまねえけど、あんた年齢いくつ?」
「21」
年齢を答えると着流しの男は目をぱあっと輝かせ、少し興奮気味に話してきた。
「あー、よかった!俺の他に若い人が居て。歩いて行った人達みんな年齢が上な人ばかり多くて心配してたんだよー」
着流しの男がそんな事を言うので、黒髪の男は呆れたように口を開いた。
「まー、そりゃあここに来る人はそうだろうな。40、50くらいが大半だろうよ」
「はっ、だろうな…。因みに俺は23。なあ名前は?」
「彰だ。姓は久米…あんたは?」
「俺は伊吹だ。姓は京」
「かなぐり…?随分変わった姓だな」
「珍しいだろ。京って書いてそう呼ぶんだよ。ま、ここで会ったのも何かの縁だし。今後ともよろしく」
な?と着流しの男、伊吹ににこやかに言われ黒髪の男、彰は苦笑しつつ口を開いた。
「死んだ後に縁って言われても変な感じだけどまあ、こちらこそよろしくな」
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