終わりのその先に

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ーーそれからの道中は彰と伊吹は世間話で盛り上がり一里と長さの道のりがあっと言う間に思えたのだった。 「……日が傾いてきたな」 「そうだな」  彰の呟きに伊吹が言葉を返す。2人が出会った時は頭上で照らしていた太陽も今では2人の進む方角に傾きつつあり、恐らくは西へと向かっているのだろう。 「なんかさ、」 「ん?」 「日が暮れたりするのもここも向こうも変わらないんだな」 なんか夢がないよなー、と残念そうに伊吹が言うので彰は苦笑した。 「まあそんなもんだろ…。理想と現実はまた別物だよ」 「そうだけど、でもさあ!俺はさあ、花畑とかあったりして死んだらそこで先祖の人達や知り合いと好きな物たらふく食って酒飲んで過ごすと思ってたのに…なんか、なんか違う!」  あの世とこの世での世界のまるで変わらなさに落ち込む伊吹を宥めていると前方に何か建物があるのが見えた。 「なあ、なんか建物があるよ」 「ん…、」 建物に向かって指差し彰が項垂れている伊吹に話しかけると伊吹も顔を上げそれを見る。もう少し歩いてみよう、と2人歩いて建物がよく見える所まで近づいた。 「うわあ、これまた立派な建物…」 思わず建物の立派さに2人口々に呟く。目の前に広がっていたのは洋風の役所のような大きな2階建ての建物で、太陽から逆光であまりよく見えないが窓の所々から電気の明かりが灯してあるのが分かった。 「詰所ってこれのことか?それにしてはやけにデカいが…」 「いや、詰所はあの建物の前にある小さいのだろ」  彰の言葉に伊吹が改めて眺めると、あの建物に続いている一本道の脇に小さい小屋みたいな建物が存在していて、2人近寄る。建物の横に立て札が地面にぽんと立ってあり詰所と書いてあった。  ドアノブには<ただいま閉鎖中>との札が掛けられていて窓から覗くも建物内は真っ暗だった。 「…開いてないな。なんでだろ?」 「さあな、開いてないなら仕方ないし、あの建物に行くしかないな」  例の小屋を後にした2人はゆっくりその大きな建物に歩いていき、目の前まで近づいた。 「……」 目の前にある建物の扉を眺め、彰はドアノブに手をかけようとするも、なかなかできないでいた。扉を開けたらどうなるのか、その先には何があるのか全く未知な為恐ろしかったのである。 「…怖いのか」 その様子を隣で見ていた伊吹が静かに彰に話しかける。彰は小さく頷き口を開いた。 「閻魔大王がいたらとか考えると恐ろしすぎる」 「ぶはっ!閻魔大王って…、彰はその考えなんだな。でも大丈夫だよ、天国行きか地獄行きかを審判するくらいなんだろ?」 あと優しいって聞くし大丈夫なんじゃね?とあっけらかんな様子で言われ、なんかもうどうでもよくなった彰だった。 もうどうにでもなれ!と思い彰はこの状況を楽しんでいる伊吹を横目で見つつドアノブに手をかけゆっくり扉を開けた。  
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