最後の囲碁

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最後の囲碁

 とある高校に囲碁部があった! 「白石部長! 1学期で引退とか、ちょー寂しいです!」 「3年は受験勉強しなくちゃだからね。あと、もう私は部長じゃないよ、目黒“新”部長!」 「そうでした! 以後、気を付けます! 囲碁部だけに!」 「…………」 「あ、今のは、以後と囲碁をかけてるんです!」 「わかってるよ! 説明いらないよ!」 「それにしても……」 「ん? どうかした? 目黒さん。そんな、しみじみとした顔をして」 「部活で白石部長と対局するのは、これが最後なんですねぇ」 「うん、まぁ、そうだねぇ」 「これが、さ『いご』の囲碁。ぷぷぷ」 「しんみり感が台無しだよ! でも」 「でも?」 「いつも通りで安心したよ! この先も、みんなで楽しく、碁を続けていって欲しい!」 「――それが、白石元部長の最期の言葉でした囲碁だけに!」 「…………」 「あ、今のは、最期と囲碁をかけて」 「わかってるよ! 漢字は違うけど、さっき言ったよ!」 「あれれ。同じ手の繰り返し、つまり、コウですね! コウコウ生だけに!」 「もういいよ! 今すぐ引退させてもらう」 <おしまい>
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