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バタバタと慌ただしく動き回る朝。
汐里は樹の食事を作り、用意した自分のお弁当をカバンに入れ、壁に掛かった時計を見ながら出勤の準備をしていた。
昨日は予定外に夜更かししてしまい、目覚ましが鳴ったのに三十分ほど寝てしまっていたのだ。
あとから起きてくるはずの樹に起こされて、大慌てで用意していたところである。
九時十分の電車に乗らなければ間に合わない。
刻一刻と時間は迫りつつある。
「ハンカチ持った?」
「ばっちり!」
「お茶は?」
「時間が無いからコンビニで買う~!あれ?」
玄関へ走りつつ腕時計を付けながら、汐里は不思議そうな顔をした。
まだ八時三十分ではないか。
それならまだまだ十分余裕はあるため慌てる必要はない。
「私、勘違いしてたみたい。寝ぼけてたかな?」
急に余裕綽々でゆっくりした動きに変えた汐里だったが、樹はその様子におかしな表情を見せた。
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