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虎門は気分が落ち込み悲観的になりやすい。今回の薬は気分が落ち着くようにサポートしてくれる効能がある。日中眠くなる、体重が増えるなどの副作用と思われる症状が出たら記録しておくように初田から指示された。
(風邪だって一日二日じゃ治らないってのに)
初田から言われたことを話したところで理解してもらえる気がしなくて、虎門は説明することを諦めた。そもそも、虎門自身いつ普通になれるのかわからないんだ。
聞かれたところで正確に何日に薬が効きますとは言えない。
「虎門、1番テーブルの料理できたぞ」
「はい!」
「4番テーブル空いたぞ。早く下げてお客様を案内しろ! 入り口の待機列が長くなってんぞ」
「は、はい!」
客が入れ替わり立ち替わり、常に店内の状況がめまぐるしく動く。
(4番テーブル片付けなきゃ、いや、お客様の案内、ええと、配膳を先に?)
臨機応変というのが最も苦手とするところではないかと指摘されたがその通り。今もまた頭が回らなくなっている。
「おにーさん、オレンジジュースちょうだい」
目の前のテーブル席の男の子が呼び出しベルを連打して虎門に言う。
「すみません、伝票取ってくるのでおまちください」
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