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レジにある伝票を取ろうとしたところで店長の怒号が飛ぶ。
「1番テーブルの配膳!」
「は、はい!」
急いでキッチンに行き、1番テーブルの伝票が置かれたトレーを取る。
「おまたせしました」
1番テーブルの配膳を済ませたら、次になにをするべきだったか考える。
「オレンジジュースまだ?」
男の子に聞かれて、伝票を書いていないことを思い出す。
「すぐにお持ちします」
レジに走り伝票を書き、キッチンに届ける。席が空くのを待つ客の列はさらに伸びている。 待機用の椅子で待つ人たちの顔は苛立ちで険しくなっていた。
「虎門! いつになったら片付けるんだ!」
「はい!」
4番テーブルを片付けるため走り、もう一人のホール担当のバイトとぶつかった。
入ってまだ一ヶ月の女子高校生、小森だ。小森はふらついてオレンジジュースをこぼした。
グラスが砕ける音がして、席にいたサラリーマンが飛び退く。
「なにしてくれてんだ! スーツに飛んだだろ! クリーニング代弁償しろ!」
小森が急いでふきんと取ってきて、サラリーマンの裾を拭う。虎門はとにかくグラスの破片を拾おうとして店長が怒鳴った。
「素手で拾うな! 掃除用具入れからゴム手袋を取ってこい」
「すみません、ええと、はい!」
グラスの破片を片付け、スーツのクリーニング代は虎門が持つことでなんとか許してもらえた。
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