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「俺がなんで怒っているか分かっていないよな、その顔」
「わ、分かって、ます」
「言ってみろ」
「失敗したから」
「違う。それもあるけど、そうじゃない! 分かってないなら分かってるなんて言うな!」
言ってみろって言ったから答えたのに。これはパワハラというものじゃないか。
怒号と共にふきんが飛んできた。
お茶を吸ったふきんは虎門の肩に当たって床に落ちる。
「失敗しただけじゃここまで怒らねえ! 失敗したのに反省する様子も、反省を生かす様子もないから怒ってんだよ! お前自分が悪かったと思ってないだろ」
「……思ってます」
「思ってるなら同じこと言わすな。ったく。そんなんじゃお前どこ行っても通用しねえよ。一年以上の職歴が無い時点で、雇うのやめときゃよかった」
(早く終われこの時間)
説教は一時間近くにわたり、仕事の時間よりこの時間のほうがよほど精神をすり減らした。
帰りの電車に揺られながら、ぐるぐると頭の中で店長の説教がまわる。
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