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社長の突然の宣言に俺は驚いた。しかし、一番反応したのは専務だった。
「社長! それは! 私の!」
社長は専務を無視して俺にドスの利いた声で詰め寄ってきた。
「さあ、どうする?」
「えー、そうは言われましても……」
俺はいよいよ面倒臭くなっていた。もう社長は乗っ取りをどうにかしようという気持ちがないのだと思い知った。専務は半年間よくやってくださいましたが、長い物に巻きこまれるとどうしようもないとわかった。もう二人には期待しない。となれば、残る手は……。
プルルルル
社長室の内線が鳴った。俺は躊躇うことなく受話器を取った。
「はい、もしもし。はい! はいはい。はい。あ、わかりました~」
「さあ、きみ。早く謎かけをしたまえ。私がギャフンと言うぐらいのものを」
鼻息をフンフンいわせて、社長が俺を急かした。思わずフッと笑った。
「……では」
謎かけに意欲を見せた俺を見て、専務が憤慨した。
「なに! やるというのか、謎かけを! まさか! きみも社長の座を狙っていたのか!?」
「整いました~!」
興奮する専務を尻目に俺は高らかに声を上げた。社長がファイティングポーズを取るように身構えた。
「よし、こい!」
「社長とかけまして~!」
「かけまして~」
「妊娠とときます」
「ほうほう、先ほどから言うだけに、コンパクトに2文字でとくか。ぐふふふ」
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