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専務はまんざらでもない顔をした。以前、専務を観察して、社長におべんちゃらを言う専務の真似を習得しておいてよかったと思った。
専務はあらためて社長の方へ向き直り、社長のお言葉を待った。
「さあ、待とう。我々に出来る事は社長を信じて待つ事だけだ」
「はい」
そうしてどれぐらいの時間が経ったのだろうか。もう本当に、もういよいよ決断しなければ大変なことになる時刻になっていた。専務はまだ動かない。社長からのお言葉を待って動くことがなかった。
俺はまた怒られる覚悟で声を上げようとした時、
「あ~」
と社長が声を発した。
「ほらみろ! 社長のお言葉だ!」
専務は子供のようにはしゃいだ。
「しっかり拝聴しよう!」
「はい!」
「あ~、整いました~」
「え?」
「整い……?」
俺は社長が何を言っているのか理解できなかった。専務も戸惑っていた。
「株式会社の乗っ取りとかけまして~」
「はい?」
「かけまし……?」
「番長の海女さんとときます~」
「え? え?」
「ときま……?」
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