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社長の謎かけを待ってましたと言わんばかりに、専務は拍手を交えて社長を盛り上げた。
「あのですねー」
俺は努めて冷静に口を挟んだが、社長の謎かけを止めることはできなかった。
「株とかけましてー」
「かけましてー」
「京都高級料亭の天ぷらとときます」
「京都高級料亭の天ぷらとときます。そのこころは?」
「あがります」
「よ! お見事、社長!」
社長が謎かけを終えてから専務が褒め称えるまで若干の静寂があった。
おそらく専務の頭の中にでっかいクエスチョンが浮かんだのがその原因であろう。
「何している、きみも拍手しなさい」
専務は俺に拍手を強要した。自分も社長の謎かけをイマイチだと思っているクセに、と俺はいよいよ大人しくしている場合ではないと爆発した。
「何を言ってんですか!」
俺の怒りの声に専務は一瞬怯んだものの、そこは根っからの太鼓持ち、すぐさま社長を守る盾になろうと俺の前に胸を張って仁王立ちした。
「何をも何も、今は社長を褒め称える時だよ!」
「違うでしょ!? 今は、乗っ取り対策に早急に取り掛かる時なんですよ。なのに、その貴重な時間を謎かけなんかに使って」
今の俺の言葉にカチンときた社長が専務の背後から俺を怒鳴った。
「きみ! 『謎かけなんか』とはなんだ!」
俺はもはやキレていた。社長に平然と物申せるぐらいに。
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