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「それに、さっきの社長の謎かけ、あまり上手くなかったですし」
「きみ!」
「だって、さっきの謎かけ、『あがります』ってオチをつけるなら、とくのは『天ぷら』だけでいいでしょう? わざわざ、『京都高級料亭』ってつけなくても」
「うむむむ!」
痛いところを突かれて、社長は唸るしかできない。すかさず専務がフォローにまわった。
「そ、それは、ただ『天ぷら』でとくより、豊かな気持ちになれるようにという、社長のリップサービスでしょうが」
「だいたい、株は、上がるだけじゃなく、下がりもするんだから、とくんなら、『シーソー』とかにして、オチを『上がったり下がったりします』ってすれば……」
バンッ! と社長が机を叩いた。そして半狂乱で俺を指さして喚いた。
「よし、わかった! これはきみの挑戦状だな?」
「社長、何を……?」
「負けないぞ。この会議中に、きみをギャフンと言わせる謎かけを考えてやるからな!」
社長が明後日の方向に暴走し始めた。
「いや、だから、そんな時じゃ……」
「あーあ。知~らんぞ、知~らんぞ。出世コースから外れても」
専務も見当違いな心配をし始めた。
「だから、専務もそんなことを言っている場合じゃ……」
「あ、はい!」
「はい! 社長!」
「整いました!」
「よっ! 待ってました!」
俺は緊急株主総会が行われている別室へ内線をかけた。
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